診療案内
‐骨外科‐
犬や猫は外傷や転落などで様々な箇所の骨が骨折してしまうことがあり、動物の骨折も人と同じようにギブス固定が行われることがありますが、骨折部分のズレがほとんどなく、安静が可能な動物の場合に限られます。そのため、完全な骨折で骨折端のズレが大きい場合やバラバラに骨折した場合には、手術による固定が必要になります。
骨折を治療せず放置すると変形癒合、骨萎縮、偽関節になり、歩行が不可能となります。
当院では犬や猫の様々な骨折に対して手術が必要な場合、積極的に手術を実施しており、他の病院様からも多数のご紹介を頂いております。以下は各部位の骨折を当院にて手術した症例を用いて説明致します。
橈尺骨骨折
5kg以下の小型犬に多く、室内でソファや抱っこの状態から飛び降りて骨折する場合が多いです。特に人気犬種のTプードルやチワワなどに多く認められます。
2.6kgのトイプードルの橈尺骨遠位端の骨折です。T字型のプレートとスクリューを用いて固定、治療しました。
上腕骨骨折
このタイプの骨折は若い犬や猫に多く、高い所から飛び降りて着地に失敗することで骨折することが多いです。
3ヶ月齢の若齢の犬の骨折です。この箇所の骨折は今回みたいな斜骨折が多く認められます。ラグスクリュー+プレート固定で整復しました。
大腿骨骨折
このタイプの骨折は交通事故などの激しい外傷で起こることが多く、筋肉が多い場所なので、整復手術する場合、他の場所より強固な固定が必要となります。
猫の交通事故による左大腿骨骨折です。髄内ピン+プレート固定(plate-rod法)で治療を行いました。
脛骨骨折
この箇所の骨折は猫、小型犬での発生が多く、転落により骨折することが多いです。
猫が高い木から落ちたことで骨折しました。猫は特に後足の力が強いため、プレートを用いた適切なインプラントによる固定が必要です。
骨盤骨折
この場所は比較的発生が少ない骨折ですが、正確に整復するには技術や経験が必要です。 犬の骨盤骨折(左腸骨体骨折)の整復手術です。プレートを2枚使用して固定しました。
猫の骨盤骨折(左寛骨臼骨折)の整復手術です。この箇所は専用のプレート(寛骨臼専用)を使用して固定しました。
手根骨骨折
この場所は主に細いピンを用いて整復します。
下顎骨骨折
主に重度の歯周病による骨融解で骨折します。プレートで固定しました。
上腕骨遠位顆間骨折
若い小型犬に発生するタイプの骨折です。この部分では関節面に骨折が及んでいるため、手術ではピン、プレート、スクリューを用いて正確に整復する必要があります。
脛骨遠位端内顆、外顆骨の剥離骨折を伴う足根関節脱臼
この骨折は猫の見られる骨折で、高い所から転落して起こすことがあります。一見、足根関節の脱臼と思われますが、脛骨の内顆外顆骨の小さい骨の剥離骨折なので、その整復で脱臼も同時に整復できます。
以上のように、部位に限らず骨折は出来るだけ早期に治療した方が術後経過は良いことが多いため、これらの病気でお困りの飼い主様は遠慮なくご連絡、ご相談下さい。