犬の気管虚脱による呼吸困難 手術法:PLLPを用いた気管外プロテーゼ法
症例:チワワ 9歳齢 避妊雌
主訴:一昨日の散歩の後から呼吸が落ち着かず、ずっとハアハアいっており、昨日からたまに呼吸が止まって倒れるとのことで診察に来院されました。診察時にすでに呼吸困難とチアノーゼを起こしており、かなり危険な状態でした。
すぐに酸素吸入処置を行い、その後レントゲン検査にて頸部気管が潰れている気管虚脱を起こしていることが分かりました。
吸気、呼気状態の両方とも頸部の気管が潰れています。これでは呼吸もうまくできません。
気管虚脱は程度が軽いグレード1から最も重症のグレード4の4段階まであり、この子は残念ながらグレード4でしたので、状態が安定した後にすぐに潰れた気管を整復する手術を行いました。気管を整復するのにPLLPといわれる円筒状のプロテーゼを使用します。
潰れた気管を確認しました。
先ほどのコイルを気管に巻き付け、細かく縫合していきます。
気管を拡張するように縫合し、気管が広くなっているのが確認できました。
術後のレントゲンです。気管の拡張が確認できました。呼吸状態も安定し、術後3日で退院することができました。今では元気一杯です!
気管虚脱は主に老齢の太った小型犬に多く発生します。年をとると気管が脆く潰れやすくなり、さらに肥満により首まわりの脂肪が蓄積しさらに気管を圧迫します。暑さで呼吸の回数が増えた時に急に気管が潰れて気管虚脱が発生します。予防としてはやはりダイエットと、夏の暑い時間帯に散歩をしないことですね。みなさんのワンちゃんも肥満には是非気をつけましょうね!!